A story about Co-creation of Exhibition at Milan Design Week 2022
mui Labが2022年6月開催のミラノサローネ内Super Design Showで行う展示は、たくさんの企業様のお力添えにて成り立っており、皆様との共創によって徹底的にこだわり抜かれた家具や生活アイテム、空間、そして体験が形づくられました。
以下に、ご協力企業との物語をご紹介させていただきます。
ARIAKE COLLECTION(家具)
ARIAKE Collection様より、“テクノロジーを意識せずに暮らせるインターフェース”となる、本展示の肝となるテーブルや椅子などの家具をご提供いただきました。
Behind The Story
mui Labのクリエイティブ・ディレクター廣部は、ミラノサローネの展示では上質で長く使いたいと思える家具を採用したいと思い、mui Labと日頃よりコラボレーションさせていただいているARIAKEブランドマネージャー樺島氏(レグナテック株式会社の取締役)を訪ねて佐賀に向かいました。廣部ははじめ、「『商品に手を入れる』ということが家具メーカーとしてはリスクではないか?製品として成り立っているものにIoTの仕組みを取り込むので、本来の机の頑丈さなどの機能が落ちるのでは?」といった懸念を感じていましたが、樺島氏はそんな不安を払拭するように快諾してくださいました。
その後テーブルが完璧な姿でオフィスに届いたのを見た廣部は、「職人さん達が中途半端なものは出さないというこだわりに感化された。一点ものであっても仕上がりにこだわりを持って、責任を持ってやっていただけたというのは、大変励みになります。」と話しています。
そんなわけで、今回のご協力に関して、mui Labの廣部から樺島氏にお話を伺う機会をいただきました。
今回のミラノサローネでの展示では、急な依頼にもかかわらず快く受け入れてくださって本当に感謝しています。でも、そんな中でもご協力くださったのはどうしてですか?
樺島氏:ARIAKEも家具を売って商売をやってますが、muiと同じ方向を向いているなと思うところがありまして。それは、モノを売ろうとしているのではなく、その先の空間や暮らし方というところに目が向いているのが、今までのお付き合いを通じて感じていたことでした。
家具製造業として業界の動きを見ていると、誰がデザインしたか、というのが前に出過ぎているなと感じてまして。あくまで、その先の使う方がどう感じるか、その方達にどういう価値を提供できるか、を意識したいと思っています。そういった考え方が通じ合えるのでご一緒したいなと思ったのが一つです。
もう一つは、今後、テクノロジー x 暮らし x 家具が密接に結びついていくだろうなとも感じていて。テックと家具がどう結びついていくかという時に、ただ取ってつけたように木製の家具にデバイスが付いているのではなく、今回の取り組みのように、どういう暮らしを提供していけるか、というその先を一緒に見つめられるのが良かったです。
テクノロジーが意識されない形で日常生活に溶け込むように技術を成り立たせたい − これが僕らの常なる目標です。muiの考えるIoT、スマートホームの未来は、ブルーの光やモーションなどが出てくるようなテッキー感のあるモノではなく、日常の行為(お皿を並べる、花瓶を置くなど)の延長線上でテクノロジーの良い部分を受け取れれば良いなと思って、そんなコンセプトを今回の展示の軸に据えました。
樺島氏:家具の先が見えてきたのがよかったです。木製家具は難しいんです。暮らしを便利にするといったら軽いし、目に見える付加価値をつけるのが難しい。情緒的な価値を出すために木の質感を感じてもらうことはできるけど、木製家具では表現できない部分があります。
家具は触って気持ちいいですよね。例えば実家のテーブルとか。手触りなどを通じてものの記憶が残っていく。身体的に実感がある。今回の展示では、「手触りや身体感覚を取り戻す」、という方向性を前面に押し出したかったんです。私たちはデバイスに支配されています。muiは、テクノロジーはもっと人に寄り添うべきだと考えています。
樺島氏:僕らも最近思っているのは、携帯が出てきて地球の裏側の人とは秒で繋がれるけど、同じテーブルに座っている隣の人とは遠くなってしまった。携帯を触るのも良いけど、テーブルの縁を触ってたい。デバイスが視界から消えたままの状態で暮らせるあり方を取り戻したいですね。
渋草柳造窯 (花瓶)
飛騨高山にある渋草柳造窯様には、生活の道具である花瓶をオリジナルで制作いただきました。
Behind The Story
テーブルに花を置くことで、食事をするためのテーブルが文字通り華やぐ雰囲気を創出したい。また、花を置くということは、暮らしに豊かさをもたらす余白のある行為です。そんなことから、手触り感のある花瓶を制作いただくため、渋草柳造窯の代表取締役 戸田柳平氏にお声がけさせていただきました。(戸田氏とは、muiボードが木製になったきっかけとなった飛騨での出会いからの関係です)
今回のご協力に関して、戸田氏にお話を伺う機会をいただきました。
戸田さんとの打ち合わせで、「日本的な花の活け方では、花を挿す花瓶はあくまで脇役であることが望ましい。」と話されていて、その考え方がいいなと思い、釉薬の色も地味なアイボリーのような色味を採用させていただいたのですが、改めて、今回の花瓶のコンセプトを教えてください。
戸田氏:違和感を取り入れるのは大切ですが、デイリーで使うものには必要ないので、ベーシックでアノニマスな形、主張しない形を意識しました。 形は「船とっくり」を参考にしました。漁師が船の上で酒を飲むのに普通のトックリだと倒れやすいので、下がどっぷりしている形です。花を入れる時に華奢なものだと倒れやすいので、厚みを持たせて重心を下げることを心がけました。また、金継ぎを施すバージョンも作成したのですが、それは今回のmuiさんの展示での「サステナビリティ」に関するポイントに合致していると思っています。お直しすることで、唯一無二のチャームポイントを作るという考え方と同時に、壊れても金継ぎをすることで作品自体が底上げされることが素敵だなと思うんです。
改めて、今回、muiにご協力いただいたのはどうしてですか?
戸田氏:単純に、mui はつまらないことはしないとわかってるんで(笑)。 「カームテクノロジー」は、これまでのテクノロジーのあり方と相反する。その感じにすごく共感できるし、興味がある。そこに携わる、多少なりとも関われるのは嬉しいです。
今回の「身体性をIoTに取り込む」というコンセプトにも共感していて、Metaverseなどデジタル化が進むと、暮らしが実態を帯びないだろうなと思います。そして人は、実感、質感、質量を求め始めるだろうとも感じます。
今回の展示に期待することがあれば教えてください。
戸田氏:花瓶などのオブジェクトが彩り、豊かさを添えてくれる存在になってくれたら嬉しいです。
株式会社ワコム
株式会社ワコム様とは、2019年より「柱の記憶」を皮切りにワコムのインクテクノロジーの技術をご提供いただいております。「柱の記憶」は、テクノロジーのパワーによって、家族との暮らしや歩みに情緒さや郷愁さが増し、絆が深まることを意図した体験装置です。また2021年には、ワコム様の共創空間「Connected Ink Village」に「キャビン(Cabin)」を設置し、コロナ禍でオンラインやオフラインなど多様な働き方が現出する中で、社員の共生・共創意識を高められるような装置をつくりました。
本ミラノサローネの展示で利用するmuiボードにもインクテクノロジーをご提供いただいております。朝起きてカーテンを開けると、"家族の記憶が宿るmuiボード"から、ひとひらのメッセージが現れます。いつ、どこから誰に当てたメッセージかはわからないけれど、家族の中で生まれ出た気持ちの一片です。
今回の展示に向けて、ワコム様よりコメントをいただきました。
今回の展示は、muiさんとずっと一緒に模索してきたテーマでもあり、来場者にとってテクノロジーとの新たな付き合い方の再考に少しでも繋がれば幸いです。
株式会社インテリックス空間設計
インテリックス空間設計様には今回の展示にご協賛いただきました。
ご協賛にあたり、代表取締役社長・俊成誠司氏よりコメントをいただきました。
「人と社会と新しい価値をつなぎ、幸せをつくる」 これは私たちインテリックスグループのMISSIONです。 リフォーム中心であった日本の中古住宅市場において、インテリックスはリノベーションという新たな価値を提案してきました。時代に合った空間を創造し実現するリノベーションを通じて、生活する人に心地良い空間を創造し、豊かな生活を送っていただきたい。 そのためにも、めまぐるしい勢いで変化していく社会の中で商品、サービス、技術をつなぎ、一人ひとりに寄り添った身近な幸せのカタチを実現したいと思っています。 今回mui Labがミラノサローネに展示するタッチパネルディスプレイは「暮らしに手触りを取り戻す」ことを表現した、これまでのIoTの概念に挑戦する内容です。 mui Labが提案する、「人の心に寄り添うカーム・テクノロジー」はわたしたちインテリックスグループが目指す心地よい空間の創造に資するデジタルテクノロジーであることに共感し、今回mui Labのミラノサローネ出展への協賛を決めました。 インテリックスグループ傘下の株式会社インテリックス空間設計では、高品質で心地よいリノベーション内装の設計・施工を行なっています。人にとっての心地よい空間とは何かを追求するとともにmui Labのような、既存の枠組みや概念を越えて創造性を発揮し、心地よい空間を生み出す企業をサポートして参ります。
その他のご協力企業についても、随時更新していきます。
- Interview | Jun 1, 2022A Talk Session between mui Lab x Amber Case "Infusing Japanese aesthetics —inspired by “mui shizen”— into Calm Technology"Amber Case
- News Release | Aug 5, 2024Odakyu Real Estate and mui Lab form business alliance to promote co-creation of communication functions that foster family ties.Odakyu
- News Release | Aug 2, 2024mui Lab and DSR Corporation, U.S., Form Business Alliance to Expand Smart Home Solutions Regardless of Communication Standardspartnership