Wacom x mui Lab 「柱の記憶」

コンセプチュアル・モデル「柱の記憶」

■「柱の記憶」について

 

身長を柱や壁に刻むのは世界共通の習慣だそうです。muiのデザイナー廣部延安(ひろべ のぶやす)は、自邸で我が子の身長を刻み成長を記録する行為が家族間のコミュニケーションを生み出していることに着目し、「柱の記憶」というコンセプトモデルが生まれました。暮らしの中でごく当たり前に存在するペンと柱(家具)それぞれが有機的につながり(Connected)、クラウドを通じて時間や空間の制約を超えて「家族で共有された時間」が再現されます。まるでタイムカプセルのように。史上最年少で萩原朔太郎賞を受賞した詩人の三角みづ紀(みすみみづき)氏による詩の表現が作品に豊かさと鮮やかさが添えます。

プロジェクト概要

  • 内容
    ワコムのデジタルインクテクノロジーとmuiのカームテクノロジーを融合させ、スマートホーム 向けの製品・サービスを共同開発

  • クライアント
    株式会社ワコム

  • 期間
    2019年〜継続的に

株式会社ワコム様との協業の背景

 

ワコム様は、電子ペンとデジタルインクの技術を活用し、クリエイターや商用に特化したツールを提供されております。そんな中、普段の生活の中で多くの人々が必要とされるライフスタイルブランドとしてのものづくりを志向し、mui Labにアプローチいただきました。

mui Labが提供できる価値

ワコムの技術をmui Labの「Calm Technology」という概念のフィルターを通して読み解くことで、生活の質を上げるための機能を持った「柱の記憶」が完成しました。mui Labは、生活者とワコムの世界観やデザイン力や技術力の間に立ち、両者をつなげるためのインターフェースと体験を設計し、mui Labの技術力を持って社会実装をしております。現在は、ワコムのデジタルインクテクノロジーを活用した「柱の記憶」のアップデート版の商品化と、次なるプロジェクトの実装に取り組んでいます。

muiプラットフォームとは

mui Labでは、「テクノロジーをmui化する」と表現しておりますが、これは、mui Labが提唱する無為自然な佇まいを様々な電子機器、デジタルプロダクト、住宅などの生活空間へ広げていくことを意味します。例えば電気のスイッチのように存在は意識せずとも機能を果たすツールのように、人の行動や注意を邪魔することなくシームレスに環境に溶け込みながら機能性を持つ状態です。この社会実装を実現するため、あらゆる事業者へmuiのプラットフォームを提供していきます。

「Calm Technology」の理念について

muiは、「無為自然」の思想に啓発され、人と自然とテクノロジーが調和のとれた状態を目指し、テクノロジーを活用したデザインを社会実装しています。具体的な方向性としては、1995年にアメリカでユビキタス理論の生みの親である研究者マーク・ワイザーが唱えた概念である「Calm Technology(穏やかなテクノロジー)」を基本理念としております。

・テクノロジーが人間の注意を引く度合いは最小限でなくてはならない
・テクノロジーは情報を伝達することで、安心感、安堵感、落ち着きを生み出さなくてはならない
・テクノロジーは周辺部を活用するものでなければならない
・テクノロジーは、技術と人間らしさの一番いいところを増幅するものでなければならない
・テクノロジーはユーザーとコミュニケーションが取れなければならないが、おしゃべりである必要はない
・テクノロジーはアクシデントが起こった際にも機能を失ってはならない
・テクノロジーの最適な用量は、問題を解決するのに必要な最小限の量である
・テクノロジーは社会規範を尊重したものでなければならない

※引用元:カーム・テクノロジーの基本原則  「カームテクノロジー(生活に溶け込む情報技術の設計)」 Amber Case 2015, 翻訳監修 mui Lab 2020ビー・エヌ・エヌ
mui Labは、米国の研究者アンバー・ケース著書の「Calm Technology」の日本語版の監修と寄稿(「無為自然」をデザインコンセプトの中心に据え、カーム・インタラクションを実践するmui Labによる寄稿文を収録)をさせていただきました。

 

ワコム社長 井出 信孝のインタビュー・サマリー
 
mui Labとの協業のきっかけ

  • 「佇まい」「テクノロジー」という言葉が心に刺さった
  • 命をかけて「佇まい」=抽象化された体験をテクノロジーで実現しようとしていると直感した
  • 自分が追い求めていた人間の軌跡をとらえるというテーマ、それを可視化していくというテーマ、そして軌跡に価値をおいていくという考えのベクトルと、muiの「佇まい」の考え方が交錯した
  • ワコムの「人間の軌跡を捉える」 とmui Labの「時空を超えて、個の内面に踏み込む」 が交錯した

ワコムが実現したい未来

  • ワコムのビジョンである人それぞれの人生に寄り添っていくインク「Life-long ink」
    – デジタルインクは軽やかに時空を超えることができる(即時性や記録ではない)
  • 人間らしい / Humane ということ
  • 淡いコミュニケーション(新しい文化としてのコミュニケーション)

mui Labとの協業価値

「考え散らかしていることをかたちにする」ことが「柱の記憶」などで実現できた。それはWacom一社ではできなかったことで、異なる要素がぶつかるからこそ出来たと考えている

muiとの協業で期待すること

  • ニュートラルに向き合い、受け止める体験
  • 闇も憎しみも狂気も、崩壊、荒廃もニュートラル受け止めて意味づけをしない。それが出会いのmuiの原点だと考えている
  • muiがUXで体現している「佇まい」の実装
  • 情報が揺蕩っている、浮遊しているさまの体現
  • 享受したいと思える価値の追求