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対話 – Wired 日本版編集長 松島倫明 x mui Lab「鴨川をヒントにデジタルテクノロジーと人間の関係性を考える」
Interview

対話 – Wired 日本版編集長 松島倫明 x mui Lab「鴨川をヒントにデジタルテクノロジーと人間の関係性を考える」

Nov 27, 2021

2021年10月、mui Labでは、パートナーであるHouse of Beautiful Businessのグローバルメンバー向けに、「無為自然(natural state of mind)〜精神的サステナビリティを刺激するカームテクノロジー」と題してトークセッションを配信しました。 

トークセッション配信動画

トークセッション・参加メンバー

・対話参加者:mui Lab CEO 大木カズ、CTO 佐藤宗彦、クリエイティブディレクター 廣部延安、Wired日本版 編集長 松島倫明 氏
・司会:mui Lab広報/ブランドマネジャー 森口明子

トークセッション・サマリー

「京都の共有財産である鴨川。デジタルテクノロジーと人間との関係性のヒントになるのではないか?」

人間は道具を開発する生き物です。人類は歴史的にも道具によって進化してきました。現代人にとっては、未来を形作る大きな要素としてデジタルテクノロジーがあります。良くも悪くも、経済や社会、環境、文化、人々の価値観や行動形態、そして生活までも大きく変える可能性を秘めているデジタルテクノロジーをどのようにデザインするべきか。その際に大切となる議論がデジタルテクノロジーと人との関係性です。それを考慮する際のヒントについて話し合いました。

mui Labは、人々が日常の中で常に触れるプロダクトや住まい環境、そしてそれらを通じた体験によって、心が豊かな方向に育まれることを願い、自然と人とテクノロジーの調和をスローガンに掲げています。 mui Labのシグネチャー的製品であるスマート・ホーム・デバイス「muiボード」のインターフェースには天然木を使い、使い手が穏やかな心持ちで利用できるよう設計しています。また、進化し続けるテクノロジーに合わせて人が不自然な所作をしたり、住まい環境の美観が壊されるような現代のあり方を問題視し、より人間らしく自然で快適であること、そして何よりも、人との関係性が健全に保たれることを大切に、デジタル情報とユーザーとの間に、余白が生まれることを意識してデザインしています。

そんなmui Labの目指すテクノロジーの理想のあり方を、CEOの大木は、トークの中で、京都の公共資産である鴨川を挙げて説明しました。「鴨川は人が作った人工自然ではありますが、あらゆる人、そしてあらゆる活動を抱擁しています。誰でもいつでも行けて、心を落ち着けられる場所、余白を得られる場所。muiはそんな人に寄り添うデジタルテクノロジーを目指しています。」という話をしました。

この大木の話を受けて、松島氏は、 「大木さんが話された鴨川の比喩はとても面白いですね。私の場合、『コモンズ(共有地)』を説明する際に海を事例としてよく挙げています。海はみんなでシェアできる共有財産です。『コモンズ』の特徴は、人々が共有できる場所があることです。場所という財産を共有するために、関係性を構築し、ルールが生まれます。鴨川沿いはみんなが使えるスペースになっています。直接的ではないものの、人とテクノロジーの関係性を考える際の大きなヒントになると思いました。また、どのように場所や環境を作るか?という点で『アフォーダンス』(補足:アフォーダンスという概念は、「環境や物は元から様々な使い方をアフォード(提供)しており、人や動物はその使い方をピックアップ(受取る)する。人や動物と、物や環境との間に存在する関係性」) も一つのヒントになります。今、新たなアクション、新たな関係性を作ることが求められています。アップルの創業者スティーブ・ジョブスが若い頃に言った言葉で、「Computers are like a bicycle for the mind」というものがあります。(補足:「人間を他の霊長類と分かつのは、人間が道具を作る生き物であることだ。人間は移動速度においては多くの動物に劣る。しかし、ある米国科学者が自転車を開発し、それによってコンドルよりも早く移動できるようになった。人間の可能性を広げる自転車は、人間の頭脳の可能性を広げる点においてコンピューターと同じだ。コンピューターは、人が開発した道具の中で人類の歴史を変えるほど革新的なものなのだ。」という発言のこと) コンピューターは人の可能性を飛躍的に伸ばしましたが、その延長でインターネットが生まれ、今、行き過ぎたアテンション・エコノミーの時代になっています。その勢いはさらに増すでしょう。メタバースの世界が到来すれば人のあらゆる意識がますます盗まれる可能性があります。そういう時代にあって、人とテクノロジーの間に、どのようにスペースや余白を設けるか。mui Labの「テクノロジーの佇まい」はそれらを包括するとてもユニークなコンセプトだと思います。

後記

mui Labでは、デジタルテクノロジーをデザインする際に“余白”を意識したアプローチをとっていますが、その”余白”という抽象的な概念を説明するのであれば、それはつまり、意図的なデザインから距離を置き、手放すこととも言えると思います。
例えば、圧倒的なミニマリズムを目指し、削ぎ落とした結果、お部屋はシンプルになったかもしれません。しかし、その空間で住まい手は本当にリラックスして自分らしく暮らしているのでしょうか。
Kyoto Chamberイベントの際にアーティストのニシジマ氏は、「人の声を塞ぐように音楽だけが意図的に大きく鳴っているカフェよりも、暮らしの中のあらゆる音が聴こえて混沌な状態なんだけど全体的に調和している方が僕にとっては心地いい。」と話されていました。
京都の代表的な公共の川、鴨川を作った当初は、今のように京都中の人々が集い、多種多様な活動を受け入れる場所と完璧にイメージしてデザインしてはいなかったかもしれません。人々が暮らす中でアイデアを出し、互いに影響されあって、時を超えて変遷し、出来上がってきたのが今の形なのでしょう。
テクノロジーのデザインも、人の意図を離れた時、意図と意図しない余白、その”あいだ”に、言葉にはできない何かが存在し始めるのかもしれません。その自然発生的な何かを称賛できること、それ自体が余白なのだと思います。つまり、意図的に余白をデザインすることはできず、ある程度のところで手放し、見守り、抱擁することこそが余白なのだと。それは、人が同時に意識できること(持てる視点とも言えるかもしれません)には限界があるということをほのめかしています。その時は「完璧なデザイン」であっても、数年後に見返すとそうは思えないとか、他人から見ると良いと思えないということがよくありますが、そもそも完璧なものなんて存在しないのがこの世の常なのでしょう。

Kyoto Chamberのイベントで、美しいビジネスについて対話をしていた際に、ニシジマアツシ氏はこう話されました。「組織や個人の意図や意味性を中心に置くのではなく、意図を超えた何かを抱擁し、委ねることが大切だと思う」と。何かを創り上げる過程で多様なものが関わり合った時、または集団で生きる場所には、一見、混沌とも見えるけれども、調和した心地良さがあるのではないか? それが、ニシジマ氏らが「silence/沈黙の窓」を通じて伝えたかったことなのだと感じました。 

人間らしい暮らしを実現するためのテクノロジーを実装するmui Labとしても、テクノロジーの意味性や我々の意図を超えた何かにどれだけ委ねられるか、それは勇気の要ることであり、そういった挑戦を迫られているとも言え、大きな示唆を得る機会となりました。 鴨川をヒントに、あらゆる人のあらゆる営みを包括して人に寄り添うデジタルテクノロジーのあり方を追求し続けていきたいと思います。

トークセッション視聴者からのコメント

Meredith: “Not perfect, but beautiful. That photo of the Kyoto street scene made me feel nostalgic.” 「不完全だからこそ美しい。京都の写真は郷愁的な想いを引き起こすわ」

Syma: “Ikigai was already on the list and now Tatzumai”. 「[生きがい] が要チェックリストにあったけど、今 [佇まい]が加わったよ」

Meredith: “This mui board is amazing.” 「muiボード、素敵!」

Sebastian: “I would love to see this for the elderly, enabling from Micro-interactions to full-blown Video calls. All in matter of touch.” 「高齢者がどのように使うか見てみたいわ。日々の小さなやりとりから本格的なビデオコールまで。重要なのは触れて動かせることね!」

Meredith: I love the words they’re using to articulate a deep set of design principals. 「彼らのデザイン理念を説明する表現方がとても好きだわ」

Hannes: “That is really beautiful!” 「とても美しい!」

Syma: “Beautiful!” 「美しい!」

Seungman: “Awesome!” 「素晴らしい!」

Andrea: ”Could the board be used for Open Space or World Cafè formats etc. as well? In the design of co-creation/collaboration formats with larger groups”「このmuiボードはオープンスペースやワールドカフェフォーマットなどにも使えたりするのかしら?例えば、多人数が関わる共創デザインやコラボレーションの形態などで。

Vanessa: “This was really beautiful!!! Thank you!” 「とても美しいわ。ありがとう。」

Anne: “truly ingenious!” 「なんて発明の才に富んでいることでしょう!」

Vanessa: “Sweet technology” 「スウィートなテクノロジーだわ」

Meredith: “This was a poetic presentation, really beautiful. I love the phrase “refusing all the hidden evil.”” 「とても詩的な表現だわ、美しい!特に、本の引用の表現が好きだわ。」

Vanessa: “He’s with a notebook and not with a computer” 「佐藤さんはコンピューターではなくノートブックを持ってるわ。いいわね!」

Meredith:”I love this idea of bonding with a piece of tech that is such a beautiful object and which means so much in your life that you want to keep it. This is such a human and humane approach to sustainability.” 「これほど美しい形でテクノロジーを表現するアイデアが素晴らしいわ。人生で大切にしたいことが守られるもの。本当に人間らしく、サステナビリティへの人間的なアプローチだと思うわ。」

Meredith: “This idea of reading the space between pictures and words is why I keep saying ‘poetic’ – this idea of distilling something so that it suggests rather than tells.” 「 絵や文章の間に余白を捉えるという考え方は、私が都度、”詩的”さを大切にしていることとつながるわ。言葉で表現するよりもずっと伝わることがあるということね」

Coen: “When will it be available in Europe?” 「いつヨーロッパで販売されるの?」

Vanessa: “how the elderly people interact with this technology?” 「高齢者の利用についてどのように考えているか聞きたいわ。」

Meredith: “Thank you. Yes – applicable and remarkable.” 「とても適切で優れているわ」

Coen: “very interesting! and inspiring how you look at technology and human interaction” 「とても興味深い!テクノロジーと人間との関係性を見るアプローチにとても刺激を受けたわ。」

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