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Calm Technology & Design

Apr 1, 2021

情報テクノロジーが穏やかに人と自然と調和している状態を実現する為、mui Labは、マーク・ワイザーの提唱した「Calm Technology (カーム・テクノロジー:生活に溶け込む情報技術)」の設計思想と日本的な美意識を融合させ、無為自然なデジタルテクノロジーの佇まいを設計し、社会へ実装しています。

元々、コンピューターは人の人生とは無関係でした。その訳語が「電子計算機」であるように、国や産業の場で論理的情報処理を担うために開発されました。その後、一般利用の需要拡大に伴い、パーソナル化が進み、PC(パーソナルコンピューター)として人の人生に大きく関わるようになっていきました。しかし、コンピューターはそもそも情報処理を早く正確に多く行うために作られたものであり、私達人間が日常的に行っている非言語情報に関わる感覚情報を用いたコミュニケーションを、円滑で良好に行えるようには元来設計されていません。今やデジタルテクノロジーが社会の重要な役割を担うほどに発展したことに伴い、ウェルビーイングが声高に叫ばれ、デジタル倫理(デジタル情報やデジタル機器そのもののあり方)が見直されつつありますが、それは人間が求める自然な欲求であり、デジタルテクノロジーが発展途上であることを窺い知れます。 
 
ところで、21世紀の目指すべきコンピューティングの姿としてワイザーが1990年前後に予言していたのは、コンピューターがいたるところに偏在する(ユビキタスな)あり方でした。そこでは、ただ小さくなったデバイスがたくさんばら撒かれるのではなく、日常生活の環境に編み込まれ、見えなくなって不可分になっていくことが高らかに謳われていました。

ユビキタスコンピューティングで掲げられていたコンピューターの人々の社会生活への寄与という点では、例えば極度に発展したSNSなどのツールでは、コンピューターの存在が意識されないレベルにまで生活に溶け込み、人間同士の交流を助けるような存在にることが一部達成されたとも言えます。世界中の人々がつながることができるようになった現在、パーソナルコンピューター化とインターネットの普及によって民主化の第一フェーズは達成されたとも言えるでしょう。 
しかし、アテンションエコノミーが到来し、デジタルテクノロジーの現状は、それらツールの創作者の意図をも超える(代)物になってしまっていると言わざるを得ません。 
人と人のリアルなつながりが希薄化し、誰かと共にいても、“姿あれど心ここに在らず”といったような社会現象が立ち現れました。 
 
デジタルテクノロジーを設計、実装する際には、人とコンピューターとの健全な関係性を志向し、使用者の体験や利益を害することのないような姿勢で取り組むことが大切です。 
 
マーク・ワイザーは、21世紀のコンピューティングの論文の中でこうも論じています。 
「森の中は、現在あるどんなコンピューターシステムよりも多くの情報であふれているのに、コンピューターを使うときはフラストレーションを感じて、森の散歩では人々はリラックスする。人間にコンピューターの都合に合わせさせるのではなく、人間の生活環境に合うようにコンピューターを作ることでコンピューターの利用は森の散歩のようにリラックスできるものになるだろう。」 
 
ここで提唱された理念が「カーム・テクノロジー」です。mui Labは、この理念に倣うと共に、京都の地で感じられる日本的な所作や習慣、風習など人々の生活や文化での根源的な精神性や暮らしの営みに表れるエッセンスを読み解き、「カーム・テクノロジー & デザイン」として融合させ、UIやUXに取り入れています。人の能力を増幅してくれるテクノロジーが、居心地の悪さを与えず、人の心や空間に溶け込んで暮らしに調和し、愛着を持てる佇まいを目指し、日々研究開発をしております。 
 
我々は、オートメーションによる効率化や生産性のみではなく、逆にそれらが加速するに従い、取り残されていく人間らしさや人間関係における温度感を補完することにデジタルテクノロジーの価値を見出しています。人が暮らしに求めるものは居心地の良さや落ち着き、住まう人がありのままにいられる環境だと考え、人の心が本質的に満ち足りる要素を「余白のデザイン」としてインターフェースや体験設計に取り入れています。 
 
デジタルテクノロジーは私たちの生活に密接に関わっていますが、冒頭でも記載したように、コンピューターの本来的な性質は記号情報を扱う精緻で論理的な情報処理であり、それ以外の私達が難なくこなす抽象的で多義的な心情を伝えることや受け手に委ねることは不得意です。 
我々の普段の日常生活においては、情動や感情などの非言語情報に関わる感覚情報(体性感覚、触感や質感、温度感など)を用いたコミュニケーションが重要であり、mui Labはそれらを包容できるデジタルテクノロジーのあり方を追求しています。 
 
例えば、mui Labのシグネチャー・プロダクトである「muiボード」は木素材を採用していますが、もっとも人間の文化や生活と関係が深い自然素材である天然木を使うことに代表されるように、五感から得られる身体感覚を大切にしています。木に指で触れてメッセージを描くコミュニケーション機能では、書き手の筆跡がそのまま送信され、受け手との間に情緒的なつながりが醸成されます。また、就寝時にお勧めの段階的調光が可能な照明機能は、太陽のリズム(日の入り)と共にある人の本能的なメカニズムに着目して設計されており、瞬間的なONとOFFのような切り替えではなく、少しづつ変化することが自然から私たちが感じている変化に近いと考え、それを暮らしに取り入れることが、無為自然なデザインの好例ではないかと考えています。 
 
自分らしい暮らしを提唱する「muihaus.」に取り入れられている「柱の記憶」では、人と人とのやり取りの中でこぼれ落ちてしまう繊細な感情の交流を、ある時柱に書きつけられた手書きのメッセージとして空間にたゆたうように浮かび上がらせることで、使い手側に気づきが与えられ、能動的な行動が促されるような設計を盛り込んでいます。 
 
人の暮らしにおけるデジタルテクノロジーの接点を穏やかにする「Calm UI」を通じて、人が人らしい時を過ごせるようになることが我々の目的です。 
テクノロジーが完璧さをまとうのではなく、日本的な“無常さ”や、侘び寂び的な感覚をも大切にし、感情移入できるような余白を意識して設計や開発に向き合っています。 
生活の中にあるデジタルテクノロジーの姿が、まるで家族の一員のように受け入れられ、愛着を感じられるような佇まいであってほしいという思いから、思想、デザイン、エンジニアリングの三位一体のアプローチで、クライアントやパートナーのプロダクトやサービスを通じて社会へお届けしています。 
 
mui Labは、デジタルテクノロジーを、心に寄り添う「無為自然」な佇まいにしていくため、本来の人間の豊かさを追求し続けながら、Calm Technology & Designのアプローチとエンジニアリングで、生活の中に温かい手応えをお届けします。 

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